うつ病について

1)うつ病とは:
 気持ちがゆううつになったり、不安、あせり、不眠、考える気がしないといった精神症状や、食欲不振や全身倦怠感といった身体症状を呈する精神疾患です。生きている間にこの病気<にかかるのは人間の約20%です。つまり5人に1人はいつかうつ病になります。“心の風邪”といわれるくらいありふれた病気です。うつ病と診断されても決してショックを受けることはありません。うつ病の状態によっては内科から精神科や心療内科を紹介されることもありますが、嫌がらずに紹介先を受診してください。

2)病態:
 脳内の神経伝達物質(脳内に発生した情報を次の場所へドミノ倒しの様に次々と伝えていく物質)の低下があるといわれています。 この物質にはセレトニン、ドパミン、ノルアドレナリンなどいくつかの物質があります。このような物質が脳の中に足りなくなってうつ病が起こるといわれています。

3)症状:
 何を考えても落ちこむ、悪く悪く考えてしまう、ともかくゆううつな気分で午前中のほうが調子が悪い、何かわからないが悲しい、不安だ、自分がすべて悪い、気持ちはあせるのに体が付いてこない、やる気がおこらない、自分はこの世に居ないほうがいいんだ、などの精神症状を訴えます。でも、患者さんからこのようなことを話すことは少なく、医師の方から聞き出す必要があります。眠れない、とくに寝つきは良いが朝早く目覚めてしまう、食欲がない、体がだるい、疲れやすいなどはよくみられる身体症状です。さらに頭痛、腹痛、発汗、めまい、心臓がどきどきする、便秘、月経不順といった身体症状を訴えます。注意しなければいけないのは身体症状だけで精神症状を訴えない患者さんがいることです。体の治療だけをしても患者さんは楽になりません。うつ病になりやすい性格として、まじめ、完全主義、几帳面、責任感が強い、社交的で温厚だが優柔不断があげられています。もちろんこのような性格の人全員がうつ病になるわけではありません。

4)診断:
 問診でほぼ診断可能ですが、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、脳下垂体や副腎の機能異常、脳腫瘍、パーキンソン病などのうつ病と同じような症状を起こす身体的疾患のないことと、うつ状態を引き起こす薬剤の使用がないことを確認する必要があります。そのような疾患や薬剤使用がなくてうつ状態の症状があるならうつ病の可能性が大です。

5)治療:
 現在の環境(ストレス)から開放することが大事です。元来、まじめで責任感の強い人ですからつい無理をして職場に出かけます。でもこの病気のときは脳の指令がスムーズに出せませんから仕事もはかどりません。そして余計にあせり、精神的ストレスを倍増することになります。早く休養することです。抗うつ薬には最近、いい薬が多く出てきています。症状や年齢により使いわける必要があります。薬を使い始めてもすぐには効き目がでない薬もあります。また症状が良くなったからといってすぐに薬を中止すると悪化します。自分の判断でなく必ず主治医と相談なさることが大切です。

6)予後:
 うつ病は数ヶ月以内に比較的簡単に治ってしまうこともありますが、長期化・慢性化する患者さんが20~30%存在すると言われています。家族から「気の持ちようだから、がんばれば治る」といわれることがよくありますが、不十分な休養、服用が病気を長引かせ、再発させていることがよくあります。 最悪の場合は自殺などのショッキングな事件も起こりかねません。あせらないでゆっくりと休養し、治療を受けてください。