「イチョウの葉エキスは認知症に効く?」

 イチョウの葉エキス(以下エキスといいます)のなかにはルチン、カテキンなどのフラボノイドやギンコライドが含まれます。フラボノイドは老化の原因のひとつである活性酸素をなくします。ギンコライドは血液のながれを良くし、血栓形成をふせぎます。これらは脳細胞の弱体化を防ぎ、認知症の予防や改善効果があるというのです。確かに医薬品として認められている国もありますが、日本やアメリカでは医薬品としては認められていません。最近,サプリメントとしてこのエキスがマスメディアに登場する機会が多くなっています。本当に認知症に有効なのでしょうか?早く、正確な研究成果がでないかなあと思っていましたら、出ました。2008年JAMAというアメリカの信頼のおける雑誌についに発表されました。

 エキスを使用した患者さん1545人と使用しない患者さん1524人を平均6.1年間追跡調査したものです。認知症の発生は使用群で277人、非使用群で246人となり、服用群の方がむしろ発生率が高いという結果がでました。統計学的有意差(学問的に両者に差があるかどうか)はありませんでした。つまりエキスは認知症の予防にも治療にも無効という結論でした。