肩腱板断裂

肩の痛みは、日常生活に大変な苦痛をあたえます。服を着られない、洗濯物を干せない、夜も眠れない等々…。五十肩かな、いずれ治るだろう、と思って放置している方も多いと思います。しかし、中には自然に治りにくい肩の痛みや、放置しない方がよいものもあります。その代表的なものが腱板断裂です。
腱板断裂とは
腱板は肩の奥にある、肩を安定させる大切な筋肉です(インナーマッスル)。断裂すると、肩の痛みや腕が挙がらない、といった症状がでます。原因は、加齢、使い過ぎ、打撲などです。50歳頃から徐々に起こりやすくなります。診断は主にMRIで行います。
治療方法は、ご年齢や断裂の大きさなどによって選択をします。
①リハビリテーション
腱板断裂があっても、リハビリテーションで症状は改善することがあります。ご高齢の方や、手術までは…、と思われている方は、まずこの方法から始めてみましょう。
リハビリテーションでは、姿勢の修正や肩甲骨の動き、断裂していない部分の腱板の働きを促し、肩関節を安定させます。
②関節鏡視下腱板修復術
関節鏡を用いて、断裂している部分をピンポイントで丁寧に修復します。小さな傷で行えますので、
身体へかかる負担は少ない手術です。
リハビリテーションのみでは、断裂した腱板は元の形に修復されません。断裂したままの状況が長期間続くと、断裂は徐々に大きくなり、手術でも修復できない状態になることがあります。そのようなことを防ぐために、特に70歳代以下の方は、手術での修復をお勧めします。
術後のリハビリテーションは非常に重要です。術後3週間は装具固定を行い、手術部位へ負荷がかからないように過ごしていただきます。術後4週間は日常生活が特に不便ですので、4週間を入院期間の目安にしてください。お仕事などで早期退院をご希望される場合は、ご相談ください。動きはすぐに回復しませんので、6ヶ月以上はリハビリテーションに通院していただく事が多いです。
焦らずにがんばりましょう。
関節鏡視下腱板修復術後
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③反転型(リバース型)人工肩関節置換術
断裂が非常に大きく、修復ができない場合に行う手術です。ガイドラインでは65 歳以上の方が対象になります。ただし、テニスなどの腕を大きく使うスポーツや、肉体労働を行う方には適さない術式です。
関節の形態を人工関節で変換することにより(回転中心を内側に、上腕骨を下方へ移動)、断裂した腱板の力を借りなくても、三角筋の力だけで腕を挙上できるようになります。

腱板は大きく断裂し、修復はできない状態

術後3週間は装具固定を行い、手術部位へ負荷がかからないように過ごしていただきます。術後4週間は日常生活が特に不便ですので、4週間を入院期間の目安にしてください。術後の注意点は、10kg以上のものを持つことは控えていただきます。スポーツに関しては、サイクリング、ジョギング、ゴルフ、水泳などは大丈夫ですが、ラグビーなどのコンタクトスポーツや、サッカーなど転倒の危険性があるもの、テニスやバレーボールなどの腕を大きく使うスポーツは禁止になります。
反転型人工肩関節置換術後
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変形性肩関節症
肩関節の軟骨がすり減ってしまう疾患です。骨折後などで二次性に生じることもありますが、加齢変化で起こってくることが多いです。治療方法は、変形の程度や腱板断裂の有無などによって選択をします。
①リハビリテーション
変形が軽度の場合は、リハビリテーションで症状の改善が期待できます。ご高齢の方や、手術までは…、と思われている方は、まずこの方法から始めてみましょう。
リハビリテーションでは、姿勢の修正や肩甲骨・腱板の動きを促し、肩関節の負担を軽減させます。
②反転型(リバース型)人工肩関節置換術
変形が高度で、
腱板が断裂している場合に行う手術です。詳細は腱板断裂の項目と同様ですので、
上記をご参照ください。
③解剖学的人工肩関節置換術
変形が高度で、
腱板断裂がない場合に行う手術です。除痛効果が高く、②よりも背中に手が回りやすいなど、
可動域の回復が良い術式です。長期的にはインプラントの緩みなどにより再手術の可能性がありますので、当院では原則65歳以上の方を対象にしています。
軟骨がすり減っている上腕骨と肩甲骨の関節面を人工関節に置換することで、骨同士が擦れ合わなくなり痛みが軽くなります。

術後3週間は装具固定を行い、手術部位へ負荷がかからないように過ごしていただきます。術後4週間は日常生活が特に不便ですので、4週間を入院期間の目安にしています。術後の注意点は、10kg以上のものを持つことは控えていただきます。スポーツに関しては、サイクリング、ジョギング、ゴルフ、水泳などは大丈夫ですが、ラグビーなどのコンタクトスポーツや、サッカーなどの転倒の危険性があるものは禁止になります。
拘縮肩(凍結肩)
肩関節を覆っている袋(関節包)は、本来、少したわんでおり動きにゆとりがありますが、その袋が分厚く硬くなる疾患です。50歳頃に発症しやすいため、俗に『五十肩』と言われています。
発症初期は痛みが強く、痛み止めの内服や、ステロイドの関節内注射を行います。
痛みが軽減し、関節の硬さが残る時期になると、積極的なリハビリテーションを行います。
治療の基本はリハビリテーションです。回復には個人差があり、3ヶ月程度で回復する方もいますが、1年以上かかる方もいます。
リハビリテーションで回復が見られない場合は、
非観血的関節授動術(サイレントマニピュレーション)を検討します。これは、エコーガイド下に首へブロック注射を行い(腕神経叢ブロック)、痛みを感じなくさせた上で、医師が徒手的に肩を動かし、硬くなった関節包を破って可動域を広げる手技です。入院は必要なく、外来通院で行えます。当日は車を運転してご帰宅できませんので、ご注意ください。施行後1~2週間は痛みが強くなりますので、お仕事などに支障のない時期に行いましょう。また、再び癒着しない様に、施行後のリハビリテーションは非常に重要で、3~6ヶ月程度はリハビリテーションに通院していただく事が多いです。
それでも回復しない場合は、
関節鏡視下関節包全周切離術を検討します。全身麻酔をかけた上で、分厚くなった関節包を関節鏡で確認しながら切離する手術です。小さな傷で行えますので、
身体へかかる負担は少ない手術です。入院期間は3~4週間程度を目安にしてください。また、再び癒着しない様に、術後のリハビリテーションは非常に重要で、退院後も6ヶ月程度はリハビリテーションに通院していただく事が多いです。
石灰沈着性腱板炎
腱板にリン酸カルシウムの結晶が沈着して、強い炎症を起こしたり、関節の動きに支障をきたす疾患です。
症状は2パターンあります。
①急に激しい痛みがでる
非常に強い痛みのため、腕をほとんど動かせなくなります。ただ、この症状は治りやすく、
ステロイドの注射が非常に有効です。エコーガイド下に石灰が沈着している部位にステロイドを注射し、消炎鎮痛剤の内服を行います。1週間以内に治癒することが多いです。
②腕を挙げる時に痛む
腕を挙げた時に、石灰が肩甲骨の一部にひっかかり痛みが出ます。
リハビリテーションで肩甲骨や腱板の動きを促すことで、石灰は吸収されなくても、痛みは軽減することが多いです。リハビリテーションを行っても改善しない場合は、
体外衝撃波を検討します。石灰が自然に吸収される期間は、数ヶ月~数年と長期に及ぶことが多く、体外衝撃波を石灰に照射することにより、数週~数ヶ月とその期間をかなり短縮することが期待できます。それでも治癒しない場合は、
手術を検討します。(関節鏡視下石灰摘出術)。小さな傷で行えますので、身体へかかる負担は少ない手術です。関節鏡で石灰の位置を確認し摘出します。入院期間は3~4 週間を目安にしてください。
反復性肩関節脱臼(スポーツ整形外科へ)