膝関節・肩関節治療センター

院長より
スポーツをする年齢の方だけでなく、高齢者の膝関節・肩関節疾患の方にも 当院整形外科は、長年、地域の皆様に頼っていただけるよう診療を行ってまいりました。
2015年に日赤和歌山医療センターより、膝関節、肩関節を専門とする井上医師が赴任してきたことを機に、
これまでの一般的な整形外科診療に加え、膝関節・肩関節治療センターを立ち上げることに致しました。
開設以降、多くの患者様にご来院していただきまして、誠にありがとうございます。さらに、2023年5月に、打越医師が常勤医として赴任しました。
日赤和歌山医療センターで17年間の勤務歴があり、その幅広い経験が加わりまして、ますますパワーアップ いたしました。
 当センターでは、①的確な診断、最善の治療方針、②丁寧なリハビリテーション、③経験豊富な医師による手術、に力をいれて診療を行っています。また、これまで通り整形外科全般の診療も行っていますので、お困りのことがございましたら、お気軽に受診してください。

 
中江病院の膝関節・肩関節治療センターの特徴
①的確な診断、最善の治療方針
 良い治療を行うためには、まず、痛みの原因、身体の状態を正確に知ることから始まります。
当院にはレントゲン、MRI、CT、超音波エコーなどの検査機器が備わっており、それらを活用することで正確な診断を行うことができます。
そして、その診断に基づいて、患者様の状態に応じた最善の治療方法をご提案します。

②丁寧なリハビリテーション
 当院の大きな特徴として、リハビリテーション専門スタッフの充実があります。
痛みを生じる背景には、姿勢不良や柔軟性、筋力の弱さなどが潜んでいることが多く、リハビリテーションでそれらを根本的に改善させます。
安静や痛み止め、湿布だけでは、多くの場合、根本的な治療にはなりません。
 また、手術を受けられた場合、手術の効果を引き出すために、術後のリハビリテーションは欠かすことができません。当センターでは術後のリハビリテーションにも力を入れており、その結果、術後の患者様の高い満足度も得られています。

③経験豊富な医師による手術
 誰しも手術は受けたくないものですが、症状を緩和させるために必要な場合があります。
当センターの手術のこだわりは、”丁寧に、正確に”、手術を行うことです。
 当センターではこれまで多くの手術を行ってまいりました。その経験、技術を生かして、これからも皆様に喜んでいただけるよう努めてまいります。

【膝関節、肩関節治療センターで主に行っている手術】
 ・膝周囲骨切り術(高位脛骨骨切り術、大腿骨遠位骨切り術など)
 ・人工膝関節全置換術
 ・人工膝関節単顆置換術
 ・関節鏡視下前十字靭帯再建術
 ・関節鏡視下半月板手術(縫合術、部分切除術)
 ・関節鏡視下腱板修復術
 ・反復性肩関節脱臼に対する手術
  (関節鏡視下バンカート修復術、鳥口突起移行術)
 ・人工肩関節置換術(解剖学的、反転型など)
専門医・認定医より
整形外科医師  井上 悟史(いのうえ さとし)
整形外科医師
井上 悟史
(いのうえ さとし)
私は膝や肩の治療と、スポーツによって生じる様々な傷害を専門にしています。
膝に関しては変形性膝関節症が代表的な病気で、下記のような方針で治療を行っています。簡単に述べますと、人工関節のみならず患者様個々の状態に応じた治療方法を選択しています。
肩に関しては、腱板断裂や脱臼、拘縮肩などが代表的な病気です。リハビリテーションで良くなることも多く、まずはこちらから行うことが多いです。ただ、中には手術が必要なこともあり、その場合は関節鏡を用いて行っています。体への負担も少なく、丁寧に手術が行えます。
 また、スポーツ傷害に関しては、色々な部位に生じますが、スポーツ特有の怪我は非常に多く、一般的な整形外科とはやや異なる要素があります。現場の監督やコーチ、指導者の方々とできるだけコミュニケーションをとりながら、選手、チームにとってより良い治療を行えたらと思っています。当院で主に行っている手術は、膝前十字靭帯再建術、半月板縫合術、肩関節脱臼、野球肘などで、そのほとんどは関節鏡で行っています。また、リハビリテーションや当院併設のアスレチックジムを併用することもあり、スムーズに競技へ復帰できる様にサポートしています。
 医師、看護師、リハビリスタッフ、トレーナー、みんなで協力して、患者様に喜んでいただけるよう治療しています。膝、肩、スポーツ傷害でお困りの方は、ぜひ、来院してください。お待ちしています。


 

 専門医・認定医

     
  • 日本整形外科学会整形外科専門医
  •  
  • 日本体育協会公認スポーツドクター
  •  
  • 日本整形外科学会認定スポーツ医
  •  
  • 日本医師会健康スポーツ医
  •  
  • NSCA CSCS
  •  
  • 日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
  •  
  • 日本整形外科学会認定リウマチ医

 

 日本人工関節学会認定医





膝関節治療センター
あなたの膝は何歳ですか?
変形が進む前にできること
 数多くある人の関節の中で、膝は体重を支える役割をもつ最も大切な関節の一つです。しかし、日本人はもともとO脚の膝が多く、変形が起こりやすい形になっています。年齢とともに変形は進むことがあり、一旦、軟骨が傷んでしまうと、元に戻すことは現在の医学では難しいです。
 その様になることをできるだけ防止するためには、まずは今のあなたの膝がどの様な状態であるかを確かめることが第一歩です。中江病院では、膝の状態やご年齢、また、何に困っておられるかなどを詳細にお伺いし、お一人お一人に最もあった治療方法をご提供しています。



中江病院では以下の方法で、変形の予防や治療を行なっています。
① リハビリテーション

② メディカルフィットネスジム

③ 装具療法(サポーターなど)

 以上の治療方法は、変形が軽度の場合は特に有効です。手術までは…、と思われている方、まずはこの方法から始めてみましょう。

④ O脚の矯正(高位脛骨骨切り術)
 変形が中程度の場合は第1選択になります。手術治療の中では最も患者様の満足度が高い方法です。O脚をまっすぐに矯正することで、膝の負担が軽くなり痛みが和らぎます。また、ご自身の膝を長持ちさせることができますので、人工関節が必要なまでに変形することを予防します。スポーツも可能な手術です。

⑤部分的な人工関節(人工膝関節単顆置換術)
 傷んだ部分だけを人工関節に取り替えます。術後の回復が最も早く、ややご高齢の方が対象になります。歯の治療でいうと部分入れ歯の様な治療です。違和感の少ない人工関節です。

⑥全体的な人工関節(人工膝関節全置換術)
 変形がかなり進行している場合のみ、この方法になります。総入れ歯の様な治療です。例えるなら、もともと歯がほとんど無い程に傷んでしまっている様な膝に行う手術です。

 以上の治療方法を使い分けるには経験が必要です。中江病院ではどの治療方法も高い水準で行なっています。膝のことなら中江病院にご相談ください。



術後の様子とリハビリについては患者さんの様子に気を配りながら、少しずつ膝を曲げていきます。
通常、術後2~3日で歩く練習を始めます。患者さんは、術後2日間くらい痛みがありますが、すぐに痛みは取れていきます。
手術後は3週間ほど入院し、リハビリを行います。主なリハビリ内容は、膝を曲げるのと歩く訓練です。
その他、膝の周りの筋肉を鍛える筋力訓練や、階段の上り下りなどの日常生活動作の訓練も行います。
やはり筋肉を切っていますので、最初は痛くて、どうしてもすぐには曲げることはできません。理学療法士が患者さんの足を触って、声をかけながらじわじわと毎日5、10°と曲げていきます。
リハビリ用に様々な機器が出ていますが、最も重要なのは、理学療法士という「人」によるリハビリテーションだと思います。
術後、患者さんの状況を最も良く把握しているのは理学療法士であり、患者さんがリハビリに継続して取り組めるように信頼関係を作り、動作ができた時にほめたり励ましたりするのも理学療法士です。
当院も実践していますが、このように機器に頼らないリハビリが重要だと考えています。
人工膝関節置換術を受ける患者さんの多くは、ある程度の年配の方なので、そういう方々が楽しまれるレクリエーションで、術後、やってはいけないことというのは、基本的にありませんし、問題なくできます。
旅行に行くとか、卓球やパークゴルフをやるとか、患者さんが自分でやりたいと思ったことに取り組まれたら良いと思います。
ただし、重労働や肉体労働、高いところから飛び降りるなどの動作は、少し難しいかもしれません。
その他、走る際には気を付けてください。
ランニングには、体が空中に浮いている時間がありますが、着地する際に全体重が膝にかかります。着地した瞬間は、体に負担がかかりますので、積極的に走るというのは避けた方が良いでしょう。散歩や、プールの中で歩いたり走ったりするのは、健康にも良いため、ぜひ進んで取り組んでください。

肩関節治療センター
それってホントに五十肩?
腱板断裂について


 肩の痛みは、日常生活に大変な苦痛をあたえます。服が着れない、洗濯物が干せない、夜も眠れない等々…。五十肩かな、いずれ治るだろう、と思って放置している方も多いと思います。しかし、中には自然に治りにくい肩の痛みや、放置しない方がよいものもあります。その代表的な病気が腱板断裂です。ご自身の肩がどのような状態か確認することはとても大切です。
私たちは肩の専門家ですので、肩の痛みでお悩みの方はお気軽に受診していただければと思います。



腱板断裂って?

 腱板は肩の奥にある、肩を安定させる大切な筋肉です(インナーマッスル)。断裂すると、肩の痛みや腕が挙がらない、といった症状がでます。原因は、加齢、使い過ぎ、打撲などです。50歳頃から徐々に起こりやすくなります。診断はMRIやエコーなどで行います。断裂があっても、リハビリテーションで症状が改善することもありますので、まずはリハビリテーションを行うことが多いです。
 しかし、断裂した腱板を元の様にくっつけるためには手術が必要で、リハビリテーションのみでくっつくことはありません。断裂している部分は、年単位で徐々に大きくなると言われています。また、修復できないほどに大きくなった場合は、人工関節などの少し大きな手術が必要になることもあります。ですので、ご年齢などを考えて、手術を検討する必要があります。当院では、関節鏡を用いて、断裂している部分をピンポイントで丁寧に修復しています。術後のリハビリテーションも非常に大切ですので、術後は引き続き当院のリハビリテーションセンターで治療を行います。また、ご遠方の方は、退院後にお近くの病院をご紹介し、リハビリを継続していただきます。



スポーツ障害
スポーツ傷害
競技復帰に向けて


 スポーツは、子供たちの身体や心が成長するためにとても大切です。また、中高齢者の方にも、糖尿病や高脂血症、肥満などを予防し、健康を維持するために有効です。しかし、不意なアクシデントにみまわれたり、頑張り過ぎて怪我をすることもあります。自然と治る怪我もありますが、後遺症を残さず、元の競技へ復帰するために治療が必要なこともあります。その多くはリハビリテーションで改善しますが、中には手術を検討しないといけない場合もあります。当院で主に行っている手術は、膝前十字靭帯再建術、半月板縫合術、肩関節脱臼、野球肘などで、ほとんどの手術は関節鏡を用いて行っています。どの手術においても術後のリハビリテーションは大切で、当院では併設のアスレチックジムを併用しながら、安全に競技へ復帰していただく様にサポートしています。



膝前十字靭帯再建術
 断裂した靭帯は再生能力が低いため、ご自身の他の部位を使って靭帯を作り直す必要があります。当院では、主に膝を曲げる腱(ハムストリングス)を用いて再建しています。この腱をとっても、約2ヶ月程度で再生するといわれており、日常生活やスポーツ活動で問題になることはほぼありません。術後のリハビリテーションは、再断裂の予防のためにも非常に重要です。あまりにも早い競技復帰は、再断裂の危険性が高くなるため、当院では基本的に術後9ヶ月目での完全復帰を目指しています(1月1日手術→9月1日復帰)。筋力の回復が順調で、目標とする大会までの期間が短い場合は、復帰時期を早めることもあります。


半月板縫合術
 半月板は膝のクッションで、膝の軟骨を守る大切な役割があります。損傷の形によって、縫合できる場合と、部分的に切除する場合があります。切除すると、軟骨が早く磨り減ることもあるため、当院ではできるだけ縫合するようにしています。また、前十字靭帯断裂に合併して損傷することも多く、その場合は靭帯の再建術と同時に半月板の縫合を行います。


肩関節脱臼に対する手術
 肩の脱臼はクセになることがあります。特に10~20歳代の若者に多く、また、ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツはその危険性が高い競技です。多くは肩の靭帯(関節唇)が損傷しており、脱臼を繰り返したり、不安感や痛みが強い場合は手術が必要になります。脱臼するたびに骨が削れることもあり、さらに脱臼しやすくなってしまいます。 当院では、損傷した靭帯を元の位置へ縫合する手術を主に行っています。



野球肘に対する手術
 野球肘で痛みがでる部位は、大きく分けて内側、外側、後ろ側の3ヶ所です。内側の痛みは、リハビリテーションでコンディションを上げることで改善することが多く、手術になることはほぼありません。手術になることがあるのは、外側の野球肘(離断性骨軟骨炎)と、後ろ側の疲労骨折です。
 外側の野球肘は、年齢や傷んでいる部位の大きさで治療方法が変わります。小学生の場合は、野球を中止することで徐々に病変が小さくなることが多いです。休んでいる間は、再発しないようにリハビリテーションでコンディショニングを行います。中学生になれば手術を検討することがあります。痛んでいる部位が小さい場合は、関節鏡を用いて剥がれた骨を摘出したり、出っ張った骨を削ったりします。大きい場合は、膝の軟骨を肘の傷んだ部分へ移植します。膝の軟骨は、採取しても問題のない部分から取ります。
 後ろ側の疲労骨折は、治りにくいため手術を検討する必要があります。多くは、小さい皮膚切開からスクリューを2本入れて骨折部を固定します。